ハーバード ジャーナル オブ ファイナンス ポリシーについて
1985 年に創刊されたハーバード ジャーナル オブ ファイナンス ポリシー (HJFP) は、ハーバード大学院生が運営する無党派の年次レビュー誌で、米国のファイアンスや金融に影響を及ぼす政治と政策立案に関する学際的な研究論文を掲載しています。
ラテン系アメリカ人の学生ローン債務とその影響:アメリカンドリームの実現を遅らせる

今日、大学進学者数はかつてないほど増加しています。2012年度には、240万人のラテン系アメリカ人が大学に入学し、全大学進学者数の19%を占めました。大学進学者数の急増にもかかわらず、25歳から29歳のラテン系アメリカ人のうち、学士号を取得しているのはわずか9%です。これは、アメリカンドリームを追求するラテン系アメリカ人にとって厳しい現状を浮き彫りにしています。学位を取得せずに大学に入学しても、必ずしも社会経済的地位の向上につながるわけではないからです。さらに、ラテン系アメリカ人の大学生は、この世代にとって最大の経済的負担である学生ローンの返済にも苦しんでいます。
学部生全体の借入額は増加傾向にあるものの、ラテン系は最も高額な学生ローンを抱えています。2012年には、ラテン系大学卒業生の67%が何らかの学生ローンを抱えて学位を取得しました。ラテン系大学生の平均負債額は49,700ドルで、白人(54,000ドル)よりわずかに少ないものの、他のマイノリティグループを上回っています。この負債の大部分は非連邦ローンであり、変動金利で、連邦ローンよりもはるかに高い金利が適用される可能性が高いです。また、これらのローンは、連邦保証ローンよりも返済期間が長くなる傾向があります。つまり、ラテン系は、他のラテン系よりも高金利でリスクの高いローンを借りており、返済期間が長くなるという状況を生み出しています。これは、住宅購入、家庭の設立、中小企業の開業といったアメリカンドリームの象徴を実現する若いラテン系にとって悪影響を及ぼしています。政策立案者、大学管理者、擁護者はすべて、ラテン系住民ができるだけ少ない借金で大学を卒業できるようにする役割を担っています。
実績に基づく援助への制度的移行
大学は、ラテン系学生やその他の低所得層の学生が十分な経済的支援を受けられるよう、大学からの援助金がどのように配分されているかを見直すべきです。近年、高等教育機関は資金配分方式を、学生の経済的ニーズ(FAFSAによって決定)に基づいて支給されるニーズベースの援助から、功績(学業成績、リーダーシップ、社会貢献などの基準によって定義)に基づいて支給されるメリットベースの援助へと移行しています。この移行は、ラテン系学生が白人学生に比べてメリットベースの援助を受けられる可能性が低いため、彼らに悪影響を及ぼしています。ニーズベースの助成金や奨学金への資金配分が減少すると、ラテン系学生は授業料の自己負担割合が増加し、教育費を賄うために連邦政府や民間のローンに頼らざるを得なくなります。
連邦労働学習の支援
高等教育機関と連邦政府は、ラテン系学生にさらなる資金調達オプションを提供するために、連邦のワークスタディに追加の資金を提供すべきである。ペル・グラントは数十年にわたり、連邦学生援助の礎となってきた。オバマ政権はペルを通じてより多くの資金が利用できるように精力的に取り組んできたが、助成金は高騰する大学費用のペースに追いついていない。連邦のワークスタディのようなプログラムは、学生に収入源を提供するとともに、教員、管理者、キャンパス全体や周辺地域との関わりを持ちながら貴重な就労経験を積む機会を提供する。大学は、連邦のワークスタディの機会を拡大するためにマッチングファンドを提供することで、この取り組みを支援できる。ワークスタディに参加する学生は卒業し、学位取得後に就職する可能性も高くなるため、そのメリットは実に大きい。
メンタリング
資金調達オプションの改善は、ラテン系の人々にとって大学進学をより手頃なものにする一方で、メンターシップ・プログラムへの追加投資は、学生が確実に卒業できるよう支援する上で重要です。25歳から29歳のラテン系人口全体のうち、学士号を取得しているのがわずか9%であるという事実は、到底容認できるものではありません。国として、最も成長著しい人口が繁栄への道を歩むよう、私たちはより一層の努力をする必要があります。この目標の実現には、ラテン系大学卒業生からのメンターシップが重要な役割を果たす可能性があります。ラテン系の学生は、他のラテン系学生に比べて情報や資金が少ない状態で大学に入学することが多く、その結果、高額でリスクの高いローンを組むことになりかねません。メンターは、この情報格差を埋め、学生が最も費用のかからない学位取得のための資金調達方法を選択できるよう支援することができます。
学生ローンの負債総額の膨れ上がりは、ラテン系アメリカ人のアメリカンドリーム実現を徐々に遅らせています。大学の価値に対する国民の懐疑心が高まっているにもかかわらず、高等教育の学位取得は依然としてこの夢を実現するための最も明確な道です。この究極の目標は、以前の世代のラテン系アメリカ人が抱いていたものと同じ要素、すなわち良い仕事、家、そして家族を包含しています。私たちは皆、既得権益を有しており、若い世代のラテン系アメリカ人がこれらの目標を達成できるよう、積極的な役割を果たすべきです。もし私たちがこの目標にコミットしなければ、2020年、あるいは2050年には、私たちの国は一体どうなっているのでしょうか。国際競争に参画できないだけでなく、自国の経済を維持することもできなくなるでしょう。その時、アメリカンドリームとは一体どのような姿になっているのでしょうか。
【英語原文】Latinos’ Student Loan Debt and the Implications: Delaying the American Dream
Today, more Latinos are attending college than ever before. During the 2012 academic year, there were 2.4 million Latinos enrolled in college, comprising 19% of the total college-going population. Despite this surge in college enrollment, only 9% of the total Latino population between the ages of 25 and 29 holds a bachelor’s degree. This paints a bleak picture for Latinos as they strive for the American Dream, as enrolling in college without attaining a degree will not necessarily facilitate upward socioeconomic mobility. Further, Latino college students are also grappling with this generation’s greatest financial burden—student loan debt.
Although borrowing is on the rise for all undergraduates, Latinos are accumulating some of the highest student debt totals. In 2012, 67% of Latino college graduates completed their degrees with some form of student loan debt. On average, Latino undergraduates acquire $49,700 in debt, which is slightly less than their white counterparts ($54,000) but above all other minority groups. The majority of this debt is nonfederal, which carries a variable, and likely much higher, interest rate than federal loans. These loans also tend to have a longer repayment period than federally backed loans. Essentially, Latinos are taking out riskier loans at a higher interest rate than their counterparts, creating scenarios where they will be paying back more money over a longer period of time. This leads to adverse effects on young Latinos’ ability to achieve the symbols of the American dream, such as purchasing a home, starting a family, or opening a small business. Policymakers, university administrators, and advocates all have a role to play in ensuring that Latinos graduate from college with as little debt as possible.
Institutional Shifts Toward Merit-Based Aid
Colleges and universities should examine how institutional aid dollars are allocated in order to ensure that Latinos and other low-income students receive adequate financial support. In recent years, institutions of higher education have shifted their funding formulas from need-based aid, where financial aid is awarded based on student economic need (as determined by the FAFSA) to merit-based aid, where financial aid is awarded based on merit (as defined by academic performance, or other criteria like leadership or community service). This shift has negatively impacted Latinos as they are less likely than their white counterparts to receive merit-based aid. With less money funneled into need-based grants and scholarships, Latinos are left to pay a larger portion of tuition out-of-pocket, and thus turn to federal and private loans to finance their education.
Supporting Federal Work-Study
Higher education institutions and the federal government should provide additional funding for federal work-study in order to provide additional financing options for Latino students. For decades the Pell Grant has served as the cornerstone of federal student aid. The Obama administration has worked tirelessly to ensure that more money is available through Pell, however the grant has failed to keep pace with the increasing cost of college. Programs like federal work-study provide students with a source of income, while enabling them to obtain valuable work experience while simultaneously engaging with faculty, administrators, and the larger campus and surrounding communities. Universities can support this effort by providing matching funds to expand federal work-study opportunities. The benefits are indeed plentiful as students that participate in work-study are also more likely to graduate and be employed after completing their degree.
Mentoring
While improving financing options will make college more affordable for Latinos, additional investments in mentorship programs will help ensure that students reach graduation. The fact that only 9% of the total Latino population between the ages of 25 and 29 holds a bachelor’s degree is unacceptable. As a nation, we need to do better to ensure that our largest growing population is on the path to prosperity. Mentorship from Latino college graduates can play a key role in making this goal a reality. Latino students often begin college with less information and less resources than their counterparts-which can lead them to take on expensive and risky loans. Mentors can help fill this information gap and help students choose the least expensive options for financing their degree.
Crushing student loan debt totals are slowly delaying the American dream for Latinos. Despite growing public skepticism over the value of college, postsecondary degree attainment is still the clearest path to achieving this dream. This ultimate goal encompasses the same elements as it did for Latinos from previous generations: a good job, a home and a family. We all have a vested interest and should play an active role in ensuring that younger generations of Latinos are able to achieve those goals. If we do not commit to this, what will our nation look like in 2020, or in 2050? Not only will we not be able to compete globally, but we will not be able to sustain our own economy. What will the American Dream look like then?
ハーバード大学生と日本の大学生におけるカードローン利用の比較
ハーバード大学の学生のカードローン利用率
ハーバード大学の学生は、クレジットカード自体の保有率は高いと考えられるものの、カードローン(クレジットカードの借入残高)の利用については全米平均より低い傾向にあります。全米の大学生ではクレジットカードの利用が近年増加し、2008年頃の調査では「大学生は平均4.6枚のクレジットカードを保有し、平均借入残高(クレジットカード債務)は2,169ドルから3,173ドルに増加した」と報告されています。
しかし、ハーバード大学ではクレジットカード債務の増加傾向に「比較的影響を受けていない」とされ、学生がクレジットカードで多額の借金を抱える事例は少ないようです。ハーバード大学の学生や関係者は、全米的なカードローン債務の急増傾向から見ると例外的に安定しており、支出管理が比較的健全に行われていると指摘されています。
ハーバード大学の学生向け金融機関であるハーバード大学信用組合(Harvard University Employees Credit Union)の代表者も、「ハーバードのキャンパスではクレジットカードの使い過ぎや延滞で問題を起こしている学生はあまり見られない」述べています。これは、信用組合が発行する学生用クレジットカードに低めの利用限度額を設定し、金融リテラシー教育を行っていることが安定に寄与しているとされています。
日本の大学生のカードローン利用率
日本の大学生については、まずクレジットカードの保有率が年々上昇しています。日本クレジット協会の調査によれば、2018年時点で大学生のクレジットカード保有率は53.6%で、前年の50.0%から増加しました。その後もキャッシュレス化の進展や2022年の成人年齢引き下げ(20歳→18歳)の影響もあり、2023年には約80%近くに達したとの報告もあります。
実際、Z世代(主に18~24歳)の大学生を対象にした2023年の調査では、「クレジットカード保有率は約76.7%」とされ、前年から約6ポイント上昇しています。これは成人年齢引き下げにより大学1~2年生でも自分名義のカードを持ちやすくなったことが一因とみられます。また、日本の大学生の約9割は自分名義のカード(親名義の家族カードではない)を保有しており、ネットショッピングや旅行予約など便利さを目的にカードを作成・利用する学生が多い傾向です。
しかし、カードローン(借入)としての利用に限ると、その割合は保有率よりも低くなります。日本の学生はクレジットカードを主に“一括払い”(翌月全額支払い)で利用し、利息のかかるリボ払いやキャッシング(現金借入)は敬遠する傾向があります。
例えば、日本カードローン協会の調査では、カードローンに「マイナスのイメージがある」と回答した学生が所持者でも36.5%に上り、非所持者では47.1%に達しています。これは、日本の学生の間で「借金はできるだけ避けたい」という意識が根強いことを示しています。そのため、カードを持っていても実際に借入残高を発生させる(リボ払い・分割払いにする、あるいはカードローン機能を使う)学生は一部にとどまります。
ある調査では、「大学4年生の35%が何らかの借金(日本学生支援機構の奨学金等を含む)を抱えている」と回答していますが、その借入先の約66.7%は奨学金(公的な学生ローン)で占められていました。奨学金以外、つまり銀行やクレジットカード会社、消費者金融からの借入を経験した学生は相対的に少なく、この調査結果から推計すると大学生全体の一割弱(数%台後半~10%程度)と考えられます。
別のデータでも、日本の消費者金融系カードローン利用者は成人全体の約10%ですが、パート・アルバイト等の非正規就労者層でも20%以上が利用経験ありとされています。大学生はアルバイトをしている場合が多いため、この「20%」の中に一部の学生が含まれると考えられます。それでも、日本の大学生におけるカードローン直接利用率は、ハーバード大学生(米国学生)におけるクレジットカード利用率と比べれば同程度かやや低い水準に留まるとみられます。
平均借入額・学生の負債規模
ハーバード大学生の平均借入額
ハーバード大学の学部学生に限定したカードローン(クレジットカード)借入額の平均値についての公式統計は多くありませんが、クレジットカード債務に関しては全国平均より少額であると推測されます。
前述のように全米の大学生平均ではクレジットカード債務が3,000ドル前後(約40万円)との報告がありました。しかしハーバードでは、学生のクレジットカード利用はある程度あっても、借入残高が膨らみ過ぎる傾向は抑えられていると報告されています。
例えば、ハーバード大学信用組合では学生向けカードの限度額を低め(※具体的な金額は公開されていませんが一般的に数百ドル程度)に設定しており、過大な借入を防止しています。その結果、ハーバードの学生が抱えるクレジットカード債務の平均は、全米平均を下回る水準に収まっていると考えられます。
また、ハーバード大学は学生ローン(学費ローン)についても非常に恵まれた環境で、学部学生の約55%が大学から給付型奨学金を受け取っており、卒業時に借金ゼロで卒業する学生も多いといわれます(※参考:ハーバード大学では低所得世帯の学生には学費全額免除を含む手厚い支援が提供される)。ある推計では、ハーバード学部卒業生のうち学生ローンを利用した者は15%程度、卒業時の学生ローン債務の中央値は1.3万ドル(約180万円)ほどとも報告されています。この額は米国平均(学部卒業時の平均借入額は約3万ドル=約400万円)よりかなり低く、ハーバードの学生は経済的負担を比較的軽減された状態で卒業できていることが分かります。
日本の大学生の平均借入額
日本では、大学生の奨学金(日本学生支援機構等の学生ローン)利用者が多いため、学生全体の平均借入額には奨学金が大きく影響します。先述の調査によれば、借金があると答えた大学4年生(35%存在)の平均借入額は198万円でした。
この大半は奨学金によるものですが、仮に奨学金のみを除いて計算すれば、民間のカードローンやクレジットカード借入による平均負債額はそれよりかなり低い金額になると考えられます。日本の消費者金融会社によると、一般にカードローン利用者一人当たりの借入残高は数十万円程度が多いようです(※例えば、消費者金融大手アコムの20代利用者の平均借入額は公表値で数十万円規模と推測されます)。
大学生の場合、アルバイト収入に基づく利用限度額が10~30万円程度に抑えられるケースが多く、実際に借りる金額も緊急の数万円からせいぜい十数万円程度が主流ではないかと考えられます。例えば、クレジットカードのキャッシング枠を利用して5万円や10万円を借り、数ヶ月で返済するといったケースです。このような小口の借入であれば、平均借入額も数万円台から十万円台に収まりやすいでしょう。
一方、注意すべきは利息負担です。日本のカードローンやクレジットカードのリボ払い金利は上限年18%程度が一般的であり、例えば「50万円を年18%で借りて毎月1万円ずつ返済する」と約8年(95ヶ月)かかり、総支払額は元本の2倍近い約94万円に達するシミュレーションもあります。幸い、日本の大学生でここまで多額(50万円以上)をカードローンで借りるケースは稀だと思われますが、仮に10万円程度でも長期リボ払いにすると利息負担が大きくなるため、学生の平均借入額は小口でも返済遅延が生じると負債が増えやすい点に注意が必要です。
総じて、日本の大学生のカードローン借入額の平均は、奨学金を除けば数万円から十万円台程度と推察され、ハーバード大学生(あるいは米国学生)の平均クレジットカード債務額(数百~数千ドル、数十万円程度)と大きくかけ離れるものではありません。ただし、日本の大学生の場合はそもそも借入自体をしていない学生が多数であるため、平均額を算出すると低めに出る点に留意が必要です。
カードローンの仕組み・制度的背景の比較
「カードローン」の定義と提供主体
日本で「カードローン」と言う場合、銀行や消費者金融会社が提供する無担保ローン(個人向け融資)で、ローン用のカードを発行してATM等で借入・返済できる仕組みを指すことが多いです。一方、米国の大学生が利用する「カードによるローン」は主にクレジットカードの利用残高(リボルビング払い残高)のことであり、厳密な区分では日本の「カードローン」に必ずしも一致しません。
ハーバード大学生の場合、「カードローン利用」といえばクレジットカードで商品購入やキャッシュアドバンスを利用し、残高を翌月以降に持ち越すことと考えてよいでしょう。日本の大学生の場合は、クレジットカードのリボ払いやキャッシングだけでなく、銀行系カードローンや消費者金融の学生向けローン(いわゆる「学生ローン」商品)を利用するケースも含めて論じる必要があります。
金利や返済方式の違い
日本のカードローン・クレジットカードの金利は法律によって上限が定められており、一般的に年利15~18%程度が上限水準です。またクレジットカードのショッピング利用については、原則として一括払い(翌月一括で引き落とし)が標準設定であり、この場合利息は一切かかりません。利用者が希望すれば分割払いやリボ払いを選択できますが、そのとき初めて手数料(金利)が発生する仕組みです。つまり、日本ではクレジットカードを使っても借金(ローン)として利用しない運用が可能であり、多くの学生はそのように使っています。
一方、米国のクレジットカードは利用すると自動的に残高が発生し、各月ごとに最低支払額だけ払えば残りは繰り越しという仕組みが基本です(もちろん全額支払うことも可能ですが、自分で積極的にそうしないと残高が残る)。そのため、米国の学生は知らず知らずのうちに借金を重ねてしまう危険があります。ハーバード大学の学生のように意識的に毎月全額払っていれば問題ありませんが、全米的には多くの大学生が最低額しか払わず残高と利息を積み上げてしまいがちで、これがカードローン債務問題の一因でした。
法的・制度的な枠組みの違い
米国では2009年に制定された「クレジットカード責任と開示法(CARD法)」によって、21歳未満の若者へのクレジットカード発行が厳格化されました。具体的には、21歳未満の申込者には安定収入の証明か親など成人の共同署名(保証人)が無いとカードを発行できなくなり、大学キャンパスでの過剰な勧誘(かつては景品欲しさに申込む学生も多かった)は大幅に減りました。
この法律施行後、米国の大学生のクレジットカード保有率は一時的に低下し(2000年代後半の84%→2010年代後半には57%程度にまで低下)、過剰与信は抑制されています。ただし21歳以上になれば比較的容易にカードを持てるため、大学3~4年生にもなれば多くがクレジットカードを所持しているのが現状です。一方、日本では長らく成人年齢が20歳だったため、「未成年の大学生」(1~2年生が該当)は親権者の同意なしにクレジット契約やローン契約をすること自体ができませんでした。
そのため、日本の大学低学年生は原則として親名義のカードを持たせてもらうか、あるいは一部の例外(18歳以上かつ高校卒業済みであれば親同意のもと学生カード発行可など)を除き、自分で借金をすることはできなかったのです。しかし2022年4月に成人年齢が18歳に引き下げられたことで、18歳・19歳の大学生も法律上は親の同意なくローンを組めるようになりました。もっとも、実務上は収入の無い学生にカードローンを貸し付けることは金融機関側も慎重です。
日本には貸金業法の総量規制(年収の1/3を超える貸付禁止)というルールがあり、アルバイト収入が月数万円程度の学生ではせいぜい数十万円が貸付上限になります。また大手銀行系カードローンでは学生への融資を断る場合や、19歳以下は申し込み不可といった内部基準もあります。そのため、法律上可能になったとはいえ大学生が多額のカードローン枠を手にするケースは稀であり、日本における学生のカードローン利用は依然として限定的です。ハーバードジャーナル記事の詳細はこちら