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ハーバード大学の学生と日本の学生のカードローン利用率

ハーバード大学の学生と日本の学生のカードローン利用率を比較

ハーバード大学は、世界有数の名門校として知られる一方、在学生の経済状況や金銭感覚にも独自の特徴を持っています。近年、大学生の間でクレジットカードやカードローンの利用が拡大する中、ハーバード大学の学生たちがどのように金融サービスを利用しているのかは、一般の大学生と比べて興味深い比較対象となります。

今回のハーバードジャーナルの記事では、ハーバード大学の学生と日本の大学生全体を対象に、カードローン(クレジットカードの借入残高を含む)利用の実態を比較し、それぞれの特徴や背景に迫ります。

カードローン利用率の現状

ハーバード大学の学生のカードローン利用率

ハーバード大学の学生は、クレジットカード自体の保有率は高いと考えられるものの、カードローン(クレジットカードの借入残高)の利用については全米平均より低い傾向にあります。全米の大学生ではクレジットカードの利用が近年増加し、2008年頃の調査では「大学生は平均4.6枚のクレジットカードを保有し、平均借入残高(クレジットカード債務)は2,169ドルから3,173ドルに増加した」と報告されています。

しかし、ハーバード大学ではクレジットカード債務の増加傾向に「比較的影響を受けていない」とされ、学生がクレジットカードで多額の借金を抱える事例は少ないようです​。ハーバード大学の学生や関係者は、全米的なカードローン債務の急増傾向から見ると例外的に安定しており、支出管理が比較的健全に行われていると指摘されています​。

ハーバード大学の学生向け金融機関であるハーバード大学信用組合(Harvard University Employees Credit Union)の代表者も、「ハーバードのキャンパスではクレジットカードの使い過ぎや延滞で問題を起こしている学生はあまり見られない」述べています​。これは、信用組合が発行する学生用クレジットカードに低めの利用限度額を設定し、金融リテラシー教育を行っていることが安定に寄与しているとされています。

日本の大学生のカードローン利用率

日本の大学生については、まずクレジットカードの保有率が年々上昇しています。日本クレジット協会の調査によれば、2018年時点で大学生のクレジットカード保有率は53.6%で、前年の50.0%から増加しました。その後もキャッシュレス化の進展や2022年の成人年齢引き下げ(20歳→18歳)の影響もあり、2023年には約80%近くに達したとの報告もあります。

実際、Z世代(主に18~24歳)の大学生を対象にした2023年の調査では、「クレジットカード保有率は約76.7%」とされ、前年から約6ポイント上昇しています​。これは成人年齢引き下げにより大学1~2年生でも自分名義のカードを持ちやすくなったことが一因とみられます。

また、日本の大学生の約9割は自分名義のカード(親名義の家族カードではない)を保有しており​、ネットショッピングや旅行予約など便利さを目的にカードを作成・利用する学生が多い傾向です​。

しかし、カードローン(借入)としての利用に限ると、その割合は保有率よりも低くなります。日本の学生はクレジットカードを主に“一括払い”(翌月全額支払い)で利用し、利息のかかるリボ払いやキャッシング(現金借入)は敬遠する傾向があります​。

例えば、日本カードローン協会の調査では、カードローンに「マイナスのイメージがある」と回答した学生が所持者でも36.5%に上り、非所持者では47.1%に達しています​。これは、日本の学生の間で「借金はできるだけ避けたい」という意識が根強いことを示しています。そのため、カードを持っていても実際に借入残高を発生させる(リボ払い・分割払いにする、あるいはカードローン機能を使う)学生は一部にとどまります。

ある調査では、「大学4年生の35%が何らかの借金(日本学生支援機構の奨学金等を含む)を抱えている」と回答していますが、その借入先の約66.7%は奨学金(公的な学生ローン)で占められていました​。奨学金以外、つまり銀行やクレジットカード会社、消費者金融からの借入を経験した学生は相対的に少なく、この調査結果から推計すると大学生全体の一割弱(数%台後半~10%程度)と考えられます​。別のデータでも、日本の消費者金融系カードローン利用者は成人全体の約10%ですが、パート・アルバイト等の非正規就労者層でも20%以上が利用経験ありとされています。

大学生はアルバイトをしている場合が多いため、この「20%」の中に一部の学生が含まれると考えられます。それでも、日本の大学生におけるカードローン直接利用率は、ハーバード大学生(米国学生)におけるクレジットカード利用率と比べれば同程度かやや低い水準に留まるとみられます。

平均借入額・学生の負債規模

ハーバード大学生の平均借入額

ハーバード大学の学部学生に限定したカードローン(クレジットカード)借入額の平均値についての公式統計は多くありませんが、クレジットカード債務に関しては全国平均より少額であると推測されます。

前述のように全米の大学生平均ではクレジットカード債務が3,000ドル前後(約40万円)との報告がありました。しかしハーバードでは、学生のクレジットカード利用はある程度あっても、借入残高が膨らみ過ぎる傾向は抑えられていると報告されています。例えば、ハーバード大学信用組合では学生向けカードの限度額を低め(※具体的な金額は公開されていませんが一般的に数百ドル程度)に設定しており、過大な借入を防止しています。

その結果、ハーバードの学生が抱えるクレジットカード債務の平均は、全米平均を下回る水準に収まっていると考えられます。また、ハーバード大学は学生ローン(学費ローン)についても非常に恵まれた環境で、学部学生の約55%が大学から給付型奨学金を受け取っており、卒業時に借金ゼロで卒業する学生も多いといわれます(※参考:ハーバード大学では低所得世帯の学生には学費全額免除を含む手厚い支援が提供される)。

ある推計では、ハーバード学部卒業生のうち学生ローンを利用した者は15%程度、卒業時の学生ローン債務の中央値は1.3万ドル(約180万円)ほどとも報告されています。この額は米国平均(学部卒業時の平均借入額は約3万ドル=約400万円)よりかなり低く、ハーバードの学生は経済的負担を比較的軽減された状態で卒業できていることが分かります。

日本の大学生の平均借入額

日本では、大学生の奨学金(日本学生支援機構等の学生ローン)利用者が多いため、学生全体の平均借入額には奨学金が大きく影響します。先述の調査によれば、借金があると答えた大学4年生(35%存在)の平均借入額は198万円でした​。

この大半は奨学金によるものですが、仮に奨学金のみを除いて計算すれば、民間のカードローンやクレジットカード借入による平均負債額はそれよりかなり低い金額になると考えられます。日本の消費者金融会社によると、一般にカードローン利用者一人当たりの借入残高は数十万円程度が多いようです(※例えば、消費者金融大手アコムの20代利用者の平均借入額は公表値で数十万円規模と推測されます)。

大学生の場合、アルバイト収入に基づく利用限度額が10~30万円程度に抑えられるケースが多く、実際に借りる金額も、1万円を借りるところから数万円までのライン、多くてもせいぜい十数万円程度が主流ではないかと考えられます。例えば、クレジットカードのキャッシング枠を利用して5万円や10万円を借り、数ヶ月で返済するといったケースです。このような小口の借入であれば、平均借入額も数万円台から十万円台に収まりやすいでしょう。

一方、注意すべきは利息負担です。日本のカードローンやクレジットカードのリボ払い金利は上限年18%程度が一般的であり、例えば「50万円を年18%で借りて毎月1万円ずつ返済する」と約8年(95ヶ月)かかり、総支払額は元本の2倍近い約94万円に達するシミュレーションもあります。

幸い、日本の大学生でここまで多額(50万円以上)をカードローンで借りるケースは稀だと思われますが、仮に10万円程度でも長期リボ払いにすると利息負担が大きくなるため、学生の平均借入額は小口でも返済遅延が生じると負債が増えやすい点に注意が必要です。

総じて、日本の大学生のカードローン借入額の平均は、奨学金を除けば数万円から十万円台程度と推察され、ハーバード大学生(あるいは米国学生)の平均クレジットカード債務額(数百~数千ドル、数十万円程度)と大きくかけ離れるものではありません。ただし、日本の大学生の場合はそもそも借入自体をしていない学生が多数であるため、平均額を算出すると低めに出る点に留意が必要です。

背景要因の違い(経済状況・文化的価値観・金融リテラシー)

経済的事情の比較

ハーバード大学と日本の大学生では、そもそもの経済的背景に大きな差があります。ハーバード大学は「入学者全員の経済的ニーズを100%満たす」方針で知られ、授業料減免や奨学金によって低所得の学生でも借金なしで卒業できる制度が整っています。

さらに在学生の家庭の平均所得層自体が高く、ハーバード学生の家庭の年収中央値は約16万8,800ドル(約1,770万円)にもなります。これは日本の私立大学生家庭の平均年収(約871万円)のおよそ2倍に相当し、裕福な層が多いことを示しています。加えて、ハーバードの学部教育費用は年間7~8万ドル(授業料・寮費・食費含む、その他費用を入れると約8万ドル=880万円程度)と極めて高額ですが​、その負担を軽減する奨学金制度が充実しているため、学生の約70%が何らかのローンを借りるような状況(前述RIETI記事の指摘)にはなっていません。

実際には学生ローンを利用するハーバード学部生は1~2割程度にとどまるのが現状です​。このように、ハーバード大学の学生は経済的な後ろ盾(家庭の支援や大学の奨学金)が厚く、日常の生活費や学費のためにカードローンに頼る必要性が低いのです。

一方、日本の大学生は経済状況が多様ですが、概して親の仕送りやアルバイト収入で生活費を賄っているケースが多くなります。文部科学省や日本学生支援機構の調査では、大学生(自宅外通学)の生活費・学費合計は年間約191万円とのデータがあります。

日本では国公立大学の授業料は年間50万円強、私立文系で年間約80~120万円程度(理系はもう少し高額)で、米国の私立大学に比べれば学費負担は抑えられています。しかしその一方で、親の収入がそれほど高くない家庭の学生は日本学生支援機構の奨学金(貸与型)に頼る割合が高く、前述の通り大学生の約3割強が卒業と同時に奨学金という借金を抱える状況です​。

奨学金は利息が低い第二種でも年利上限3%程度(第一種は無利息)と良心的ですが、卒業時に数百万円の残高が残ることも多く、返済は新社会人の経済的重荷になっています。こうした学費ローン以外に、生活費の不足分を補うため一部の学生は消費者金融やクレジットカードのローン機能に手を出すケースもあります。

特に、アルバイト収入や仕送りだけでは賄えない出費(例えばサークルの合宿費用や友人との交際費など)がかさんだ場合、一時的にカードで借りてしまう学生も少なくないと指摘されています​。もっとも、日本では後述するように法規制もあり学生の借入額は限られるため、結果的に日本の大学生全体ではカードローン債務が天井知らずに膨らむ状況には至っていないといえます。

文化・社会的価値観の違い

金銭や借金に対する文化的態度も、ハーバード(米国)と日本で差異があります。一般に米国ではクレジットカードによる支払いは日常的であり、大学生でも将来のクレジットスコア構築のためにあえてカードを作って使用することが推奨される場面もあります。そのため「クレジットカードで支払って後で返す」ことへの心理的抵抗は日本より低めです。

しかしその反面、若者のクレジットカード多重債務が社会問題化した歴史もあり、実際に2000年代前半にはクレジットカード債務を抱えた学生の自己破産や深刻な延滞が増加したとの報告もあります(※ハーバード大学のエリザベス・ウォーレン教授の調査によれば、25歳以下の自己破産申立が増加し、クレジットカード債務に苦しんだ学生が自殺に至った事例も指摘されています)。

このような背景から、米国では金融教育の重要性が叫ばれ、2009年頃から大学生へのクレジットカード勧誘規制(後述)など社会的対応が進みました。一方で、ハーバード大学のようなエリート校では学生自身も金銭管理に比較的慎重であることが多く、また「将来高収入職に就く見通しがあるので在学中は投資(借金)しても構わない」といったギャンブル的発想に陥る学生は少ない傾向があります​。

むしろ、ハーバードの学生は親から早い段階で賢い金銭管理について教えられていることが多いとも言われ​、クレジットカードの使い方でも節度を守る傾向があります。

対して日本では伝統的に「借金は極力しない」文化が根強く、特に消費のための借金(カードローンやキャッシング)には否定的な価値観が見られます​。親世代が子に「クレジットカードは危ないから使いすぎるな」と教えることも多く、学生自身も借金に対する漠然とした不安を抱えている場合が少なくありません。

実際に、「クレジットカード=怖いもの」というイメージから大学在学中はデビットカードやプリペイドカード、あるいは現金主義を貫く学生も一定数います。ただし近年はキャッシュレス化の流れでそうした意識も変化しつつあり、「ポイントが貯まるから」「ネット決済に必要だから」といった合理的理由でクレジットカードを受け入れる学生が増えています​。

それでも、多くの日本の学生にとって借金は最後の手段であり、親や友人に知られたくない隠れた悩みとなりがちです。この点、米国の学生の方がオープンに「学費のために○○ドル借りている」と話せる雰囲気があるのとは対照的です。

金融リテラシー(金融教育)の状況

ハーバード大学では前述のとおり、大学の信用組合が中心となって学生向けの金融教育セミナーを開いたり、カード利用に関する注意喚起を行ったりしています​。また、米国全体でも高校・大学でのパーソナルファイナンス教育の重要性が認識され、近年では多くの州で高校段階から金融リテラシー教育を必修化する動きがあります(フロリダ州などが代表例)。

ハーバードの学生はそうした教育を受けてきた可能性が高く、また同級生同士でも投資や貯蓄について情報交換する文化があるため、自らカードローン地獄に陥る前に相談や対処を行う素地があるといえるでしょう。

日本では長らく学校での金融教育が遅れていましたが、2022年の学習指導要領改訂で高校家庭科において投資やローンについて教えるようになり、ようやく若年層への金融リテラシー向上策が本格化しています。それでも現在の大学生世代(18~22歳)は高校で十分な金融教育を受けていない場合が多く、クレジットカードの仕組みやリスクを正確に理解していないことがあります。

日本クレジット協会の大学生調査でも、カード未所持者の約70%が「将来的にはカードを持ちたい」と考える一方で、カード所持者も含め「正しいカードの使い方や留意点について周知する啓発が重要」と結論づけられています​。つまり、日本の大学生にはまだ金融リテラシーに不安が残る層も多く、特にカードローンやリボ払いの危険性について十分な知識を持たないまま利用してしまうリスクがあります。

実際、消費者金融業界や法律事務所などは「学生の借金トラブル」について情報発信を行っており、「収入が不安定な学生でも簡単にお金を借りられてしまう現実がある」「一度10万円を借りてしまうと感覚が麻痺して繰り返し借りてしまう人もいる」と警鐘を鳴らしています。

このように、日本では金融リテラシー向上策が遅れてきた背景もあり、文化的な借金忌避感に頼っている側面がありましたが、今後キャッシュレス化でカード利用がさらに広がるにつれ、体系的な教育が不可欠となっています。

カードローンの仕組み・制度的背景の比較

「カードローン」の定義と提供主体

日本で「カードローン」と言う場合、銀行や消費者金融会社が提供する無担保ローン(個人向け融資)で、ローン用のカードを発行してATM等で借入・返済できる仕組みを指すことが多いです。一方、米国の大学生が利用する「カードによるローン」は主にクレジットカードの利用残高(リボルビング払い残高)のことであり、厳密な区分では日本の「カードローン」に必ずしも一致しません。

ハーバード大学生の場合、「カードローン利用」といえばクレジットカードで商品購入やキャッシュアドバンスを利用し、残高を翌月以降に持ち越すことと考えてよいでしょう。日本の大学生の場合は、クレジットカードのリボ払いやキャッシングだけでなく、銀行系カードローンや消費者金融の学生向けローン(いわゆる「学生ローン」商品)を利用するケースも含めて論じる必要があります。

金利や返済方式の違い

日本のカードローン・クレジットカードの金利は法律によって上限が定められており、一般的に年利15~18%程度が上限水準です。またクレジットカードのショッピング利用については、原則として一括払い(翌月一括で引き落とし)が標準設定であり、この場合利息は一切かかりません。利用者が希望すれば分割払いやリボ払いを選択できますが、そのとき初めて手数料(金利)が発生する仕組みです。

つまり、日本ではクレジットカードを使っても借金(ローン)として利用しない運用が可能であり、多くの学生はそのように使っています​。

一方、米国のクレジットカードは利用すると自動的に残高が発生し、各月ごとに最低支払額だけ払えば残りは繰り越しという仕組みが基本です(もちろん全額支払うことも可能ですが、自分で積極的にそうしないと残高が残る)。そのため、米国の学生は知らず知らずのうちに借金を重ねてしまう危険があります。

ハーバード大学の学生のように意識的に毎月全額払っていれば問題ありませんが、全米的には多くの大学生が最低額しか払わず残高と利息を積み上げてしまいがちで、これがカードローン債務問題の一因でした​。

法的・制度的な枠組みの違い

米国では2009年に制定された「クレジットカード責任と開示法(CARD法)」によって、21歳未満の若者へのクレジットカード発行が厳格化されました​。具体的には、21歳未満の申込者には安定収入の証明か親など成人の共同署名(保証人)が無いとカードを発行できなくなり、大学キャンパスでの過剰な勧誘(かつては景品欲しさに申込む学生も多かった)は大幅に減りました​。

この法律施行後、米国の大学生のクレジットカード保有率は一時的に低下し(2000年代後半の84%→2010年代後半には57%程度にまで低下)、過剰与信は抑制されています。ただし21歳以上になれば比較的容易にカードを持てるため、大学3~4年生にもなれば多くがクレジットカードを所持しているのが現状です。

一方、日本では長らく成人年齢が20歳だったため、「未成年の大学生」(1~2年生が該当)は親権者の同意なしにクレジット契約やローン契約をすること自体ができませんでした。そのため、日本の大学低学年生は原則として親名義のカードを持たせてもらうか、あるいは一部の例外(18歳以上かつ高校卒業済みであれば親同意のもと学生カード発行可など)を除き、自分で借金をすることはできなかったのです。

しかし2022年4月に成人年齢が18歳に引き下げられたことで、18歳・19歳の大学生も法律上は親の同意なくローンを組めるようになりました​。もっとも、実務上は収入の無い学生にカードローンを貸し付けることは金融機関側も慎重です。日本には貸金業法の総量規制(年収の1/3を超える貸付禁止)というルールがあり、アルバイト収入が月数万円程度の学生ではせいぜい数十万円が貸付上限になります。

また大手銀行系カードローンでは学生への融資を断る場合や、19歳以下は申し込み不可(例:オリコは20歳未満対象外)といった内部基準もあります。そのため、法律上可能になったとはいえ大学生が多額のカードローン枠を手にするケースは稀であり、日本における学生のカードローン利用は依然として限定的です。

制度的背景のまとめ

ハーバード大学生と日本の大学生のカードローン利用を取り巻く制度には以下のような違いがあります。

  • 金利上限・・・日本は法定上限金利(~20%)があり、違法な高金利は無効ですが、米国は州法によります(クレジットカードは事実上上限が緩く20%以上の金利も珍しくない)。その結果、米国の学生は年利20%以上の利息を課されることも多いのに対し、日本の学生は最大でも18%程度までです。ただし18%でも十分高金利であり、返済が長期化すれば米国同様に利息が雪だるま式に増えます。
  • 与信規制・・・米国は若年者へのカード発行に年齢制限(21歳未満は要保証人等)がありますが、日本は18歳以上(高校生除く)であれば自己の責任で契約可能です。ただし日本の貸金業者は総量規制により年収の1/3超は貸せず、無収入の学生にはそもそも貸付できません​。したがって、日本の学生はアルバイト収入の範囲内(例:年収120万円なら最大40万円まで)でしか借りられないのに対し、米国の学生はクレジットカードの仕組み上は収入が無くても数千ドルの与信枠が与えられてしまう場合があり、こちらの方が危険とも言えます。もっとも米国でも収入や信用履歴の無い学生の初期クレジットラインは小さく設定されることが多いです($500~$1000程度からスタートし、実績に応じて増額)。
  • 学生ローン制度・・・ハーバード大学生の場合、学費や生活費は奨学金や連邦政府の学生ローン(低金利)で賄うのが一般的で、わざわざ高金利のカードローンで学費を払うようなことは通常ありません。一方、日本では奨学金(貸与型)はあるものの金額に上限があり、それで足りない場合に不足分をカードローンで補填するケースが一部にあります。制度設計上、米国の方が「学費は学生ローン、日常費はクレジットカード」と用途ごとに金融手段が分化しているのに対し、日本は「学費・生活費込みで奨学金、それ以外は不足時にカードローン」という形で棲み分けが曖昧です。ただ、実際には日本でも「学生ローン専門の金融会社」(低額を学生に貸し付ける消費者金融)が存在し、金利は年15~16%程度で数十万円まで貸す商品を提供しています。これらはあまり表立って宣伝されませんが、一部の学生に利用されています。
  • 社会的セーフティネット・・・米国ではクレジットカード債務が払えなくなると最悪自己破産で債務整理することもあります(近年は若年者の破産も増加傾向が指摘されました)。日本でも自己破産はできますが、学生の少額債務の場合は親が立て替えたり、債務整理(任意整理)で利息カットしてコツコツ返済するといった対応が取られることが多いようです。いずれにせよ、多額のカードローン債務を抱え込むことは日米ともに学生の将来に大きな悪影響を及ぼすため、両国で金融教育とルール整備が進められているのが現状です。

まとめと活用可能なデータ

以上の比較から、ハーバード大学の学生は経済的支援と高い金融リテラシーに支えられ、カードローンの利用率・借入額ともに抑制されている傾向が顕著です。他方で日本の大学生はクレジットカード保有率こそ高まっていますが、「借金」に対する慎重な姿勢が強く働き、奨学金以外のカードローン利用は限定的です 。

以上を踏まえると、ハーバード大学生は経済基盤の厚さと教育によってカードローン依存が低く日本の大学生も文化的な慎重さと制度によりカードローン利用は抑制されていると言えます。それぞれの統計データ(例:ハーバード学生の家庭年収中央、大学生のクレジットカード保有​、借入経験率と平均借入​など)は信頼できる一次情報であり、オリジナルの分析に活用できるでしょう。

各種データを組み合わせて比較することで、経済環境や文化の違いがカードローン利用に与える影響を定量的に示すことが可能です。各出典から得られた最新情報を参考に、これらの要因を総合的に分析すると良いでしょう​。